○夷隅郡市広域市町村圏事務組合患者等搬送事業指導基準及び搬送事業認定に関する要綱
令和2年3月3日
告示第4号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 指導基準(第3条―第21条)
第3章 認定基準(第22条―第34条)
第4章 その他(第35条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この要綱は、夷隅郡市広域市町村圏事務組合消防本部管内の民間事業者による搬送用自動車を用いた患者等の搬送業務を行う事業(以下「患者等搬送事業」という。)に対し、必要な指導を行うとともに、一定の基準に適合する搬送事業者の認定を行うことにより、患者等の生命及び身体の安全を図ることを目的とする。
(用語の意義)
第2条 この要綱における用語の意義は、次に定めるところによるものとする。
(1) 「患者等」とは、寝たきりの状態にある者、身体障害者及び傷病者等をいう。
(2) 「患者等搬送事業」とは、ストレッチャー及び車椅子を固定できる自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)又は車椅子のみを固定できる自動車(以下「患者等搬送用自動車(車椅子専用)」という。)を使用し、患者等を医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎のために搬送する事業をいう。
(3) 「患者等搬送事業者」とは、患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 「乗務員」とは、患者等搬送用自動車又は患者等搬送用自動車(車椅子専用)に乗務し、患者等搬送事業に係る業務(以下「患者等搬送業務」という。)に従事する者をいう。
第2章 指導基準
(患者等搬送事業の基礎原則)
第3条 患者等搬送事業者は、患者等からの通報の適正処理及び患者等の搬送技能の向上に努めること。
2 患者等搬送事業者は、生命に危険があり又は症状が悪化すると認められ、緊急に医療機関又はその他の場所に搬送しなければならない患者等は、搬送の対象としないこと。
3 患者等搬送事業者は、事業の社会的責任を十分自覚し、関連法規を遵守すること。
(消防機関との連携)
第4条 患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合は119番通報等により患者等の居る場所、状態、既往症及び掛かりつけの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請すること。
(1) 患者等からの要請時点において、緊急に医療機関へ搬送が必要である場合。この場合において、併せて乗務員を患者等の居る場所に派遣すること。
(2) 要請者の依頼場所に到着時点において、緊急に医療機関に搬送する必要がある場合
(3) 患者等の搬送途上において、緊急に医療機関に搬送する必要がある場合
(乗務員の要件)
第5条 患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てること。
(1) 別表第1に掲げる消防機関が行う患者等搬送乗務員基礎講習を修了した者
(2) 別表第2に掲げる患者等搬送乗務員基礎講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者(以下「特例認定者」という。)
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18歳以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てること。
(1) 前項第1号に掲げる者
(2) 別表第1に掲げる消防機関が行う患者等搬送乗務員基礎講習(車椅子専用)を修了した者
(3) 特例認定者
4 適任証等の交付を受けた者がその有効期間内において第9条で定める定期講習を受講した場合は、適任証等の有効期間満了日の翌日から起算して2年間有効とし、それ以降も同様とする。
(適任証等の交付申請)
第7条 特例認定者が適任証等の交付を受けようとする場合は、適任証等交付申請書(様式第4号)に特例認定者の要件となる証を提示し、写しを添付して消防長に申請すること。
(適任証等の携行)
第8条 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは適任証等を携行すること。
(定期講習の受講)
第9条 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証等の交付を受けた乗務員に2年に1回以上、別表第3に掲げる定期講習を受講させること。
(適任証等の再交付)
第12条 適任証等を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、適任証再交付申請書(様式第6号)により消防長に再交付の申請をすること。
2 適任証等を汚損し、又は破損したとき、前項の規定により申請した場合は、当該適任証等を添えること。
3 消防長は、同条第1項の規定による申請を受けたときは、申請書の内容を審査のうえ、支障がないと認めた場合は、適任証を再交付する。
(運行体制)
第13条 患者等搬送用自動車の運行は、患者等搬送用自動車1台につき第5条第1項の要件を満たす2名以上の乗務員をもって患者等搬送業務を行わせること。ただし、退院等を目的とした運行をする場合又は乗務員以外に医師、看護師若しくは救急救命士が同乗する場合は、乗務員を1名とすることができる。
(車両の要件)
第14条 患者等搬送用自動車又は患者等搬送用自動車(車椅子専用)は、次の各号に掲げるとおりとすること。
(1) 十分な緩衝装置を有すること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) ストレッチャー及び車椅子等を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 携帯が可能な通信機器等、連絡に必要な設備を有していること。
(6) 患者等搬送用自動車(車椅子専用)にあっては、車椅子の乗降を容易にするための装置(スロープ、リフト等)を備えていること。
(積載資器材)
第15条 車両には、別表第4に掲げる資器材を積載すること。
(車両の外観)
第16条 車両は、サイレン又は赤色警告灯を装備するなど、救急自動車と紛らわしい外観を呈していないこと。
(消毒の実施等)
第17条 車両及び積載資器材の消毒は、次の各号により行うこと。
(1) 定期消毒 毎月1回以上
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 医師から消毒について特別な指示があった場合
2 消毒の実施要領は、別表第5による。
3 定期消毒を実施したときは、その旨を消毒実施記録票(様式第7号)に記録し、車内の見やすい場所に表示すること。
(安全管理及び衛生)
第18条 車両及び資器材については、点検整備を確実に行い、清潔の保持に努めること。
2 乗務員の服装は、患者等搬送業務にふさわしいものとし、清潔の保持に努めること。
3 患者等の搬送に当たっては、患者等及び同乗者に対し、安全ベルトを装着させるなど、安全搬送の措置を講ずること。
(事業案内)
第19条 パンフレット等の事業案内には、救急隊と同レベルの活動ができるかのような表現は避けること。
(応急手当)
第20条 患者等搬送事業者は、患者等搬送業務を行うとき、症状の悪化防止に万全の配慮を行うとともに、搬送途上において症状が悪化し、緊急やむを得ない場合は、必要な応急手当を実施すること。
(知識及び技術の維持管理)
第21条 患者等搬送事業者は、乗務員に対し、患者等の安全搬送に関する知識及び技術の向上に努めること。
第3章 認定基準
(認定対象となる患者等搬送事業者)
第22条 認定対象となる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次の各号のいずれかに該当する者とする。
(1) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
(認定マーク等の表示)
第26条 患者等搬送用自動車認定マーク及び患者等搬送用自動車(車椅子専用)認定マークの表示は、車両後面の見やすい位置とする。
2 車体には、国土交通省で定めた患者等輸送車両である旨の表示をすること。
(認定の有効期間)
第27条 認定の有効期間は、認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第28条 認定事業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは、当該認定の有効期間の満了する日の1箇月前から満了する日までの間に更新申請すること。
(認定の失効)
第30条 次のいずれかに該当するときは、認定はその効力を失うものとする。
(1) 道路運送法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され又は失効したとき
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき
(3) 認定の有効期間が満了したとき
2 認定事業者は、前項に該当した場合は認定証等を速やかに返納するものとする。
(認定事業者の責務)
第31条 認定事業者は、指導基準を誠実に履行しなければならない。
2 認定事業者は、患者等搬送業務実施中、搬送業務の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させたときは、特異事案報告書(様式第17号)により消防長に報告するものとする。
(認定業者の調査)
第32条 消防長は、認定事業者に対し、指導基準の履行状況について、認定審査基準表(様式第12号)により年1回以上調査するものとする。
2 消防長は、前項の規定により不適事項が認められたときは、指導基準に適合するよう指導するものとする。
(認定の取消し)
第33条 消防長は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
(1) 認定事業者が指導基準を履行しないとき。
(2) 業務の遂行に当たって、重大な事故を発生させたとき。
(3) その他、認定を継続することが不適当と判断されたとき。
(認定証等の再交付)
第34条 認定事業者は、認定証等を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、患者等搬送事業認定証等再交付申請書(様式第19号)により消防長に申請し、認定証等の再交付を受けることができるものとする。
2 消防長は、前項の申請を受けたときは、申請書の記載事項等の内容を審査のうえ、認定事業者に再交付する。
第4章 その他
第35条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この告示は、令和2年4月1日から施行する。
附則(令和4年8月1日告示第8号)
この告示は、公示の日から施行する。
別表第1(第5条、第10条、第11条関係)
基礎講習
種別 | 患者等搬送乗務員基礎講習 | 患者等搬送乗務員基礎講習(車椅子専用) | ||
実施者 | 消防長 | |||
受講回数 | 乗務員になるときに1回以上 | |||
講習内容 | 1 総論 | 1時間 | 1 総論 | 1時間 |
2 観察要領及び応急処置 | 13時間 | 2 観察要領及び応急処置 | 9時間 | |
3 体位管理要領 | 2時間 | 3 体位管理要領 | 1時間 | |
4 消防機関との連携要領 | 2時間 | 4 消防機関との連携要領 | 2時間 | |
5 車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2時間 | 5 車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 1時間 | |
6 搬送法 | 2時間 | 6 搬送法 | 1時間 | |
7 修了考査 | 2時間 | 7 修了考査 | 1時間 | |
講習時間 | 24時間 | 16時間 | ||
講師 | 講師は、次のいずれかに該当する者とする。 1 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めた者 2 消防大学校の救急科課程の修了者で、消防長が適任と認めた者 3 応急手当指導員の資格を有する者のうち、応急手当の指導に関して高度な知識、技能と十分な経験を有する者 | |||
修了考査実施基準 | 修了考査は次の内容とし、80点以上を以って合格とする。 1 実技(観察要領と応急処置)60点 2 筆記(消防機関との連携要領)20点 (車両資器材の消毒及び感染防止要領)20点 | |||
その他 | 1 課目の1時間は45分とする。 2 消防長は、必要と認める場合は、講習内容及び講習時間等を変更することができる。 |
別表第2(第5条関係)
基礎講習を修了した者と同等以上の知識及び技能を有する者(特例認定者)
区分 | 分類 |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字社の行う応急処置に関する講習を受けた者で、資格の有効期間内の者。ただし、消防機関が行う基礎講習に不足する課目については、消防機関の行う講習を受講すること。 |
3 | 他の消防機関から、適任証等の交付を受け、有効期間内の者 |
4 | 上記、1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者 |
別表第3(第9条~第11条関係)
定期講習
種別 項目 | 患者等搬送乗務員定期講習 | |
実施者 | 消防長 | |
受講回数 | 2年に1回以上 | |
講習内容 | 1 観察要領及び応急処置 | 2時間 |
2 体位管理要領 | 1時間 | |
講習時間 | 3時間 | |
講師 | 講師は、次のいずれかに該当する者とする。 1 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めた者 2 消防大学校の救急科課程の修了者で、消防長が適任と認めた者 3 応急手当指導員の資格を有する者のうち、応急手当の指導に関して高度な知識、技能と十分な経験を有する者 | |
その他 | 1 課目の1時間は45分とする。 2 消防長は、必要と認める場合は、講習内容及び講習時間を変更することができる。 |
別表第4(第15条関係)
患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理資器材 | バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 自動体外式除細動器(AED) |
(注)
1 自動体外式除細動器(AED)の積載は、任意とする。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)にあっては、バッグバルブマスク、敷物、まくら及びピンセットの積載は、任意とする。
別表第5(第17条関係)
消毒の実施要領
1 消毒の種類及び注意
区分 | 薬品名 | 適用(濃度)等 | 使用上の注意 |
薬物消毒 | 塩化ベンザルコニウム | 1 手指・皮膚…0.05~0.1% 2 器具類…0.1% | 1 結核菌に対しては有効でない。 2 石けん類は殺菌効果を弱めるので、クレゾール石けん液等との併用は避ける。 3 血清、汚物等の存在下では著しく効果が減少するので、器具等に付着している場合は十分に洗い落としてから使用すること。 4 合成ゴム製品、合成樹脂製品、塗装カテーテル等への使用は避けることが望ましい。 |
クレゾール石けん | 1 手指・皮膚…0.5~1% 2 器具類…0.5~1% 3 排泄物…1.5% | 1 濃厚液が皮膚に付着した場合には、直ちに拭き取り、石けん水と水でよく洗い流す。 2 浄水で希釈すると次第に混濁して沈殿することがあるので、このような場合には、上澄み液を使用する。 3 ウイルスに対して有効でない。 | |
消毒用エタノール | 1 手指・皮膚 2 器具類 | 1 希釈しないで使用する。 2 広範囲または長時間使用する場合には、蒸気の吸入に注意すること。 3 血清、膿汁等の蛋白質を凝固させ内部にまで浸透しないことがあるので、これらが付着している器具等に用いる場合には、十分に洗い落としてから使用すること。 4 手指・皮膚に使用した場合には脱脂等による皮膚荒れをおこすことがある。 5 合成ゴム製品、合成樹脂製品、塗装カテーテル等の器具は長時間浸漬しないこと。 | |
次亜塩素酸ナトリウム | 1 手指・皮膚…0.01~0.05% 2 器具類…0.02~0.05% 3 排泄物…0.1~1% 4 HBウイルス等 (1) 汚染…1% (2) 汚染(疑)…0.1~0.5% | 1 血清、膿汁等は殺菌作用を減弱させるので、これらが付着している器具等に用いる場合は、十分に洗い流してから使用すること。 2 金属を腐食させるので、器具等に使用する場合には注意すること。 3 濃厚液が皮膚に付着した場合には、直ちに拭き取り、石けん水と水でよく洗い流す。 4 結核菌に対しては有効でない。 | |
その他の消毒 | 焼却 | 感染症等の病原体により汚染された物件、器具等で消毒後再び供用する目的のないもの又は消毒費用に比較して安価なものは焼却することが望ましい。 | |
日光消毒 | 衣服、毛布、敷物等で上記の消毒法を実施できない場合は、薬物消毒と併用して直射日光で消毒する。 |
2 消毒の方法
区分 | 血液、嘔吐等による汚染を受けた場合 | 左記以外の汚染の場合 |
資器材 | 1 消毒剤による清拭 2 流水による洗浄 3 消毒、滅菌 | 1 流水による洗浄 2 消毒、滅菌 |
車内 | 1 消毒剤による清拭、噴霧消毒 2 流水による洗浄 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で、水漏れを避けなければならない場所は、消毒剤による清拭を行うものとする。 2 消毒実施時には、使い捨てビニール手袋等を着装すること。 |