○夷隅郡市広域市町村圏事務組合火災調査規程
平成6年12月12日
訓令第9号
夷隅郡市広域市町村圏事務組合火災調査規程(平成2年訓令第18号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章に基づく火災の原因及び損害額の調査(以下「火災調査」という。)を円滑適確に行うために必要な事項を定めることを目的とする。
(調査員の遵守事項)
第2条 火災調査に従事する職員(以下「調査員」という。)は、火災調査に当たっては、次の各号に定める事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、平素から火災の現象及び関係法令の研究に努め、調査技術の改善向上を図るとともに社会の動向に留意し、特に管内の諸状況を把握し、調査能力の向上を期さなければならない。
(2) 調査員は、火災調査に当たっては適正公平を旨とし、強制的手段をさけ、穏健妥当な方法により住民の協力を得るように留意しなければならない。
(3) 火災の早期発見者、関係者等の重要参考人に対する質問はなるべくその時機を失せず真実の発見に努めなければならない。
(4) 調査員の行う火災調査は、火災の原因並びに損害の実態を適確に判断するために必要な調査であり、犯罪捜査を行うものでないことに留意しなければならない。
(5) 調査員は、関係警察職員と緊密な連絡並びに意志の疎通を欠くようなことがあってはならない。
(6) 調査員は、法第34条に基づいて立入検査を行うに当たっては、身分を明らかにし関係者の承諾を得て行うことを原則とし、また必要があるときは、関係者の立ち会いを求めなければならない。
(7) 調査員は、火災調査に当たっては、関係者の秘密を外部に漏らしてはならない。
(8) 調査員は、火災調査執行に際し、関係者の民事的紛争に関与してはならない。
(9) 調査員は、火災現場で原因調査の過程又は判断の結果を不用意に漏らしてはならない。
(10) 調査員は、火災調査に当たっては、常に火災原因の実態を究明することを主眼とし、先入観にとらわれることなく科学的な方法と合理的な方法と合理的な判断により、事実の立証に努めなければならない。
(11) 調査員は、火災の状況を観察し、必要な情報及び調査資料の収集に努め、特に物的調査(実況見分)と人的調査(関係者に対する質問)を併用し、その真実を究明しなければならない。ただし、原因の判定又は立証に当たっては、物的証拠によることを原則とし、人的証拠によってこれを裏付けるようにしなければならない。
(調査の基本的事項)
第3条 調査員の行う基本的な調査事項は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 火災が発生した日及び場所並びに関係者の職氏名
(2) 出火原因、出火箇所及び出火場所状況
(3) 損害状況
(4) 関係者の出火前後の行動及び状態
(5) 気象状況及び周囲の状況
(6) り災前の建物の状況及び防火管理状況
(7) 死傷者の有無及び発生した理由
(8) 消防設備等の設置及び使用状況
(9) り災者等の状況及び避難状況
(10) 延焼拡大の理由
(11) その他必要な事項
(実況見分)
第4条 調査員は、火災現場その他関係ある場所及び物件について見分するときは、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 火災現場全般について詳細に見分を行い、調査のため必要な資料の発見及び入手に努めなければならない。
(2) 火災の原因、損害その他必要な事項を明らかにする見分でなければならない。
(3) 関係者等を立ち会わせて実施しなければならない。ただし、関係者等の所在が不明等で立ち会えない場合は、この限りでない。
(関係者の申述)
第5条 消防長は、関係者の申述を得るため調査員に質問させることができる。
2 調査員は、質問を聴取するときは、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 強制手段を避け、場所及び時間を考慮して、あくまでも任意の申述を得るようにしなければならない。
(2) 直接経験した事実の申述を得ることを原則とし、申述を誘導してはならない。
(3) 伝聞にわたる申述で調査上必要と認める内容については、その事実を直接経験した者に質問して申述を得るようにしなければならない。
(4) 申述の矛盾又は変化に注意し、これを元にして更に質問を行うよう努めなければならない。
3 質問によって知り得た事項で、原因の判定又は立証上必要と認めたときは、質問調査書(別記様式第2)にこれを記録しておかなければならない。ただし、原因判定の容易なものについては、関係者よりてん末書若しくは始末書を任意に提出せしめこれに替えることができる。
4 前項の質問調査書は、被質問者に閲覧させ又は読み聞かせて誤りのないことを確かめさせ、同人が内容について増減変更の申立てをしたときは、その申述を記載しておかなければならない。
(少年に関する取扱い)
第6条 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)が関係する火災の調査については、別に定めるものを除くほか、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 少年の関係する火災の調査を行うときは、少年の将来を考慮し温情をもってこれに当たらなければならない。
(2) 少年は、実況見分の立会人としてはならない。
(3) 少年に対する質問は、保護者立会いの下において行わなければならない。
(4) 少年の質問調査書を作成したときは、立会人に対し署名を求めるものとする。
(5) 前3号の規定は、次のいずれかに該当し、かつ、消防長又は消防署長が必要と認めたときは、適用しないことができる。
ア 年齢、心情その他諸般の事情を考慮して支障がないと判断される場合
イ 立会人を置くことにより真実の申述が得られないと判断される場合
(6) 少年の関係する火災の情報を報道機関等から求められたときは、その少年の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。
2 心神喪失又は心身耗弱の状態にある者、ろうあ者等の関係する火災についての調査は前項の規定を準用する。
(復元図の作成)
第7条 調査員は、実況(鑑識)見分調査書と質問調査書の結果に基づき、火元建物及び延焼建物、周囲の状況等について復元図を作成しなければならない。
2 前項の復元図は、直接火災の原因となったもの、その周囲に所在したものとの関係、延焼過程等を略図又は写真により記録しなければならない。
(現場写真)
第8条 調査員は、火災現場において発火物並びに原因判定上必要があると認められる物件及びその箇所をできる限り速やかに写真撮影を行い、発火点の立証に努めなければならない。特に火元建物付近の延焼状況については、時機を失することなく速やかに写真撮影を行い、発火点の立証に努めなければならない。
2 前項により撮影した写真には、その信ぴょう性をそこなわないよう適当な方法で必要な説明を加えなければならない。
(現場の保存)
第9条 火災現場にある全ての職員は、消火活動、残火処理、再燃火災防止活動等に際して、現場保存に細心の注意を払わなければならない。
(先着隊長の報告)
第10条 先着した隊長は、出動途上及び現場活動中における延焼拡大しつつある現場の煙、炎上状況、異臭、異音等の火災現象等の状況について、出火出動時における見分調査書(別記様式第3)に記録しなければならない。
2 火災に出動した全ての消防職員は、消火活動等を通じ火災状況の見分に努めなければならない。
3 火災現場に先着した隊長は、到着時の見分状況及び収集した情報で特に原因調査上必要があると認めたときは、直ちに調査員に報告しなければならない。
(官公署に対する照会)
第11条 消防長は、法第32条第2項の規定により調査のため必要と認めるときは、官公署に対し必要な事項の通報を求めることができる。
(鑑定の依頼)
第12条 消防長は、火災調査のため必要があると認めたときは、関係ある証拠物件について、鑑定機能を有する機関等で消防長が適当と認める機関に対し、鑑定依頼書(別記様式第5)により鑑定を依頼するものとする。
(資料の提出命令等)
第13条 消防長は、関係者に対し火災原因の判定又は立証のために必要な証拠物件又は資料の提出を命じ、又は報告の求めを次の各号によりできるものとする。
(1) 必要な物件又は資料の提出を命じるとき 資料提出命令書(別記様式第8)
(2) 報告を求めるとき 報告徴収書(別記様式第8の2)
(原因の認定)
第14条 調査員は、火災調査の結果について総合的に検討を行い、原因の認定の結果を火災原因判定書(別記様式第10)に記載しなければならない。
(原因の認定区分)
第15条 火災原因の認定基準は、次の各号に定めるとおりとする。
(1) 判定 各資料の証明力を総合することにより、具体的かつ科学的にその原因が判定されるもの
(2) 推定 判定に至らないが、当該資料を基礎として専門的立場から合理的にその原因が推測できるもの
(3) 不明 各資料の証明力が極めて少なく、これに多少の推測を加えてもその原因を合理的に推測することが困難なもの
(死傷者の調査)
第18条 調査員は、火災による死傷者が発生した場合は、死傷者の調査書(別記様式第13)を作成しなければならない。
(火災調査概要報告書)
第19条 調査員は、火災調査の結果を取りまとめ火災調査概要報告書(別記様式第14)を作成しなければならない。
(1) 火災調査概要報告書(別記様式第14)
(2) 火災原因判定書(別記様式第10)
(3) 実況(鑑識)見分調査書(別記様式第1)
(4) 出火出動時における見分調査書(別記様式第3)
(5) 鑑定書(別記様式第5)
(6) 質問調査書(別記様式第2)
(7) 死傷者の調査書(別記様式第13)
(8) 損害算定書(別記様式第12から第12の5まで)
(9) り災申告書(別記様式第11から第11の3まで)
(10) 復元図
(11) 写真
(12) その他必要とする書類
(火災発生一覧表)
第21条 予防課予防係は、毎年1月から12月まで発生した火災について、火災発生一覧表(別記様式第16)に記録し保存しなければならない。
(火災調査速報)
第22条 消防長は、火災調査の結果を火災調査速報(別記様式第17)により、発生場所の市町長に速報するものとする。
(1) り災証明は、火災によるり災物件が確実な証拠により立証できる場合とする。
(2) り災証明書に証明できる事項は、火災による被害に関する事項とする。ただし、火災の発生原因及び損害額は除くものとする。
(3) り災証明書を交付することができる対象者は、り災物件の所有者、管理者、占有者、担保権者、保険金受取人その他消防長が認める者(以下「関係者」という。)とする。
3 り災証明書の様式が、交付先において特に定めがある場合(以下「指定様式」という。)は、り災証明交付申請書に指定様式を添付し、正本副本各1通を提出させ、正本に証明内容を記載し交付できるものとする。ただし、指定様式に著しい不足がある場合はこの限りでない。
(震災に伴う調査の原則)
第24条 消防長は、大規模地震発生時において発生した火災の調査に対し、組織的な執行体制の確立に努めるものとする。
2 震災に伴う火災の調査活動は、災害活動がおおむね終息するまでは情報収集及び火災状況の記録を主眼に行い、災害活動終息後はり災証明書発行のための損害状況調査を優先して実施するものとする。
3 震災に伴う調査活動については、延焼拡大状況の調査等将来の行政施策等に反映させるための重点的な調査についても時機を失することなく実施するものとする。
(情報の早期収集)
第25条 消防長は、地震発生直後から災害状況の記録及び調査のための情報収集に努めなければならない。
(震災に伴う火災の指定)
第26条 消防長は、地震発生直後からの火災状況を勘案し、期間及び地域を限定して「震災に伴う火災」を指定するものとする。
2 消防長は、震災に伴う火災の指定を受けた火災の調査については、延焼拡大状況及び損害状況調査等の記録に重点を置いた震災に伴う火災調査活動を実施するものとする。
3 前項の震災に伴う火災調査要領については、別に定める。
(調査員等の確保)
第27条 消防長は、震災後の行政対応等を考慮し、震災に伴う火災の調査活動に必要な調査員及び調査資機材の確保に配慮するものとする。
(震災に伴う火災によるり災証明書の発行)
第28条 消防長は、震災後に伴う火災における火災被害の調査結果に基づき、迅速なり災証明書の発行に努めるものとする。
2 震災に伴う火災によるり災証明書の発行要領は、別に定める。
(火災に関する照会)
第29条 消防長は、火災の原因等に関し関係機関及びり災者等から照会があったときは、その目的及び内容その他必要な理由について審査し必要事項を回答することができるものとする。
(補則)
第30条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成7年1月1日から施行する。
附則(平成7年7月24日訓令第2号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(平成9年10月20日訓令第5号)
この規程は、公示の日から施行する。
附則(平成12年8月16日訓令第3号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(平成18年12月15日訓令第6号)
この訓令は、平成19年1月1日より施行する。
附則(平成20年12月25日訓令第2号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成22年3月25日訓令第1号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成25年4月1日訓令第9号)
この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成26年5月1日訓令第6号)
この訓令は、平成26年5月1日から施行する。
附則(平成28年3月30日訓令第6号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成29年10月17日訓令第2号)
この訓令は、平成30年1月1日から施行する。
附則(平成31年3月1日訓令第3号)
この訓令は、平成31年4月1日から施行する。
附則(令和3年3月26日訓令第2号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和5年3月2日訓令第2号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。